イタリアファッション業界の重鎮が手掛ける“漢”のアウターブランド

RR（アールアール）は、1948年フィレンツェ郊外のエンポリに創業した老舗コートファクトリーLANDI（ランディ）社のオリジナルブランドです。1960～70年代に作られていたコートを当時の素材を含め復刻し、アップデートを加えることでノスタルジックな雰囲気の中にモダンさをプラスしたコレクションを展開しています。22S/Sよりイタリアファッション業界の重鎮ROMANO RIDOLFI（ロマーノリドルフィ）をヘッドデザイナーに迎え入れコレクションを一新。ロマーノ氏が得意とするミリタリーをベースとしたフィレンツェカジュアルスタイルを蘇らせ、感度の高いバイヤーたちから注目を集めています。日本でも有名セレクトで扱いがスタートしており、今後ますます注目されることが予想されます。

ハリントンジャケットの名作を再構築したスタンドカラーブルゾン「FURIO」

l’impermeabile（リンペルメアビレ）から独立し、オリジナルブランドとして始動することになった「RR（アールアール）」。ブランド名は、イタリアファッション業界の重鎮であり、RRのヘッドデザイナーでもあるRomano Ridolfi（ロマーノ・リドルフィ）の名にちなんでいます。日本ではあまり有名ではありませんが、ロマーノ・リドルフィ氏は若かりし頃、あのジョルジオ・アルマーニが一目置いていたほどの逸材でして、イタリアではCPカンパニーを創業したマッシモ・オスティ氏と肩を並べる知名度を誇ります。私は彼が手掛けていたSAN FRANCISCO（サンフランシスコ）の大ファンで、若い頃に買い漁った思い出があります。

ご紹介するのは、RRならではのアレンジが光る新モデル「FURIO（フリオ）」になります。ご覧のとおり同モデルは、すべてのブルゾンの原型と言われる「G9ジャケット」がベースになっています。1948年にイギリスのBARACUTA（バラクータ）がゴルフ用ジャケットとして制作したG9ジャケット。G9の“G”はGOLFの頭文字であり、“9”は9番目に開発されたことを意味しています。60年代にロンドンのストリートからブレイクしたG9ジャケットは、海を渡りニューヨーク、そして瞬く間にロサンゼルス、ハリウッドへと伝わります。かつての大スター、スティーブ・マックイーンも同ジャケットをこよなく愛していたことで知られています。誕生から70余年の月日が流れましたが、今もなお輝きを失わない真のマスターピースです。

そんなG9ジャケットを再構築し、ヴィンテージっぽい風合いに仕上げたのがFURIOです。衿先にダブルボタンがあしらわれた特徴的なスタンドカラー（通称ドッグイヤーカラー）、ラグランスリーブ、フラップ付きの腰ポケット、裾リブ、背面のアンブレラヨーク、バランスのいいショート丈など、時代を経ても変わることのないG9ジャケットの完成されたデザインを継承しつつも、ドライ加工を施した高密度ワックスドコットンクロスを採用することでミリタリーチックな男らしさを演出し、スポーティでありながら絶妙なこなれ感のあるアイテムへと昇華させています。袖口のデザインがG4ジャケットと同じ“カフ仕様”に変更されている点も見逃せません。これによってぐっと大人っぽい雰囲気が増しています。味のあるアンティークゴールドのメタルパーツやチェック柄の裏地なども洒落ており、所有欲を掻き立てられます。G9ジャケットの普遍的デザインを損なうことなく、独自のアレンジを施すことで“漢気”溢れる一着へと変貌させた、これぞロマーノ・リドルフィといった高い完成度を誇る逸品です。カジュアルからキレイめまで幅広いコーディネートに合わせられるのですこぶる使い勝手がいいですし、流行に左右されることはまずないので飽きずに長く愛用して頂けます。

今の気分を反映した“ゆとりがあるのにもたつかない”フィッティング

RR（＝リンペルメアビレ）のアウターは、すべてイタリア製です。コート生産地として栄えたエンポリの自社ファクトリーでイタリアの伝統的なテーラードの技法を用いて一着一着丁寧に作られています。身幅にゆとりのある今どきのフィッティングになっていますが、流れるようなラグランスリーブを採用することで“ゆとりがあるのにすっきり見える”よう緻密に計算されています。実際に着るとよく分かりますが、細身じゃないのにスマートに見えます（＝ダボついて見えません）。バサッと羽織ると絵になる、そんな今の気分にぴったりなフィッティングになるとお考えください。

撥水性に優れ、着込むにつれ風合いの変化を楽しめる高密度ワックスドコットン

使用されている生地は、「WAX COT（ワックスコット）」という名称の、厳選されたコットン素材から紡がれた細番手糸を高密度に打ち込んだ後、ワックスを染み込ませて優れた撥水性を実現したワックスドコットンクロスになります。通常のワックスドコットンやオイルドクロスとは違い、仕上げ段階でドライ加工を施すことで表面のオイルを取り除いてベトつきが抑えられているので不快感を覚えることなく着用して頂けます。一見するとワックスドコットンっぽくないですが、優れた撥水性があるので少しくらいの雨ならこのブルゾンがあれば傘は必要ありません。ワックスを含んでいるので、着込むにつれ風合いが変化して味が増してくることも特徴です。現時点で80点、着れば着るほど味が増してきて100点になるという、着て育てるエイジング素材になります。