「エレガンテ・スポルティーヴォ」を体現する高級レザーウェアブランド

1975年、フィレンツェ郊外のヴィンチで創業したレザーウェアブランド「EMMETI（エンメティ）」。コンセプトは“エレガンテ・スポルティーヴォ”。スポーティーでありながらエレガントなスタイルです。レザーとファー、レザーとナイロンなど、異素材の組み合わせによってラグジュアリー感を演出しています。代名詞であるムートンには世界最高峰とされるスペイン産羊皮を採用。羽毛にはポーランド産グースダウンを。ナイロンにはラミンテス社の超軽量素材スーパーライトを採用するなど最高級素材にこだわっています。また、素材のみならず、人間の体躯を熟知したタイト過ぎないスリムフィッティングにも定評があります。

知名度が抜群にあるわけではありませんが、セレクトショップや百貨店を中心に着実に売上げを伸ばしているチェックしておくべきブランドです。なにより素材がよく、デザインがよく、さらには価格が適正。品質と価格のバランスはもちろんフィッティングについても申し分なく、売れっ子ファッションディレクター干場氏をもってしても“50万円前後のビッグメゾンのレザーウェアとの差が分からない”と言わしめるほどです。

ミリタリーの名作をエレガントに昇華したムートンブルゾン「ORWELL」

エンメティの代名詞であるムートンウェア。そこに昨年加わり、あっという間に人気モデルになったのが「ORWELL（オーウェル）」です。エンメティのムートンウェアのよさをもっと広く知ってもらうために、フルムートンでありながら税込み20万円台半ばという戦略的なプライシングを採用したお値打ちモデルです。

デザインは、ボンバージャケットの最高傑作と言われる「B-3フライトジャケット」になります。B-3は、1934年にアメリカ陸軍航空隊に正式採用されたフライトジャケットの名称です。第二次大戦時、米国の爆撃機搭乗員たちはマイナス30℃にもなる極寒の環境と戦っていました。そこで登場したのが、防寒性を第一に優先して作られたシープスキン（羊革）のB-3です。このジャケットは、爆撃機搭乗員たちが着用したことからボンバージャケットと呼ばれるようになります。高価なシープスキンのB-3はナイロン製のフライトジャケットの登場によって姿を消しますが、スティーブ・マックイーンやアラン・ドロンに代表される銀幕スターが着用したことで市民権を獲得し、現在ではボンバージャケットの最高傑作と称され、街着として多くの人たちから支持されています。

ムートンウェアの大定番として古くから親しまれているB-3ですが、エンメティの手に掛かればご覧のとおり。B-3のオリジナルデザインを踏襲することで男らしさを打ち出しつつも、まるでマシュマロのような弾力のある最高品質のスペイン産ムートンを採用することでハードな印象（＝ミリタリーっぽさ）をやわらげ、“男らしさ”と“上品さ”が絶妙な均衡で保たれたオーバーミドルに相応しいムートンブルゾンに仕上げています。エンメティならではの日本人の体型に合うスリムフィッティングも素晴らしく、B-3の野暮ったいイメージを払拭し、よりクリーンな印象を強めています。

米軍公認のALPHAやAVIREX、グッチ、バレンシアガ、シュプリームに至るまで、多くのブランドがB-3を手掛けていますが、“大人が品よく着こなせるか”という点で、エンメティのORWELLを超えるものにはそうそう出会えないと思います。ジーンズはもちろんドレスパンツにも合う（＝カジュアルだけでなくドレスにも合わせられる）B-3は珍しいのではないでしょうか。見慣れた＆着慣れた定番デザインゆえ、コーディネートしやすいですし、飽きずに長く愛用できるところもいいですね。これぞまさに温故知新。“10年愛せる定番アウター”としてワードローブに残り続けることでしょう。

日本人の体型に合うタイト過ぎないスリムフィッティング

エンメティは素材だけではありません。日本人の体型に合う細身のフィッティングにも定評があります。同ブランドのエージェントを務めるインテレプレの代表は細身かつ小柄な日本人体型で、その彼がイタリアに赴きサイジングから日本人向けに作り込んでいるので欧米人向けに作られたビッグメゾンのムートンウェアのようにお直しに出す必要がありません。肩、胸、袖（二の腕）、どこをとっても“もたつき”がなく、すっきりと洗練された印象です。それでいてテーラードジャケットのような前振り袖になっているので驚くほど動きやすいです。計算されたショート丈も素晴らしく、小柄な方でもバランスよく着こなせます。このサイズ感こそがエンメティの人気を支えているものと思われます。本当によく考えられています。

専業ブランドならではの一切の妥協を許さない作り込み

高度な縫製技術が要求されるファーガーメントを使っているのに縫製に狂いがなく、テーラードのような立体的で美しい仕上がりになっているあたりは専業ブランドだからこそ。細部のディテールや副資材などの作り込みも抜かりなく、厳選されたイタリアメイドのメタルパーツ（ファスナーやスナップボタン）、袖の長さを自由に調節できる断ち切りの筒袖、縫合部を覆って耐久性を高めるラムレザーテープなど、長く着ることを前提にして一切妥協せずに作り込まれています。これぞ一流の仕事です。

数量限定のスペシャル版です。スペイン産の最高級ムートン「SP MOUTON」

本品には社長のフランコ氏がタンナーとのコネクションを活かし、特別なルートで入手した革が使用されています。「SP MOUTON（スペシャルムートン）」という名称のこの革は、通常であればビッグメゾンでなければ手に入れることができない最高品質のスペイン産ムートンになります。ラグジュアリーブランドがこの革を使ってコートを作るとゆうに80万円を超えるそうです。まさに“超”が付くレベルの高級ムートンです。生産キャンセルで流れてきた革なので、もちろん数量限定です。再入荷はありません。限定4着なのでお見逃しなく！

スペイン王室御用達のLOEWE（ロエベ）でお馴染みの、世界最高峰との呼び声の高いスペイン産ムートンは、毛足がぎゅっと詰まっていて保温性に優れ、あたかもスムースレザーのような美しい床面（ナッパ仕上げ）を持ちます。しっかりとした厚みがあるにもかかわらず、たいへんやわらかく、まるでマシュマロのようなモッチリとした弾力があり、触れた瞬間にクオリティの高さを実感できます。毛足は「STRAIGHT（ストレート）」になります。一本一本の毛足が細くて真っ直ぐなので上品な印象です。もちろん肌触りは最高です。襟の毛足が首や顔に触れてもチクチクしません。

床面を薄く塗装して革の銀面のような質感に仕上げるNAPPATO（ナッパート）と呼ばれる特殊な加工が施されているため、定番のスエードムートンよりも汚れに強く（油分による撥水性があるので汚れにくい）ケアが容易になっています。原皮の傷を隠すために顔料を厚く塗った安価なナッパムートンとは違い、顔料が薄く、繊細なきめを持つ床面の風合いがまったく損なわれていないことからも品質の高さがうかがえます。

毛足を刈り込むことでボリュームが抑えられているので“着膨れしにくい”こともポイントです。これによって、スタイリッシュな細身シルエットのよさを引き出すことに成功しています。ムートンウェアの欠点である重量についても解消されており、ムートンブルゾンとしては最軽量の部類（サイズ46で約1150グラム）なので着ていてストレスを感じることはないと思います。